今年で5回目の春の巡検は4月8日(日)午 後から、約60人の参加者で昨年8月に開館 した県立歴史博物館を見学いたしました。
常設展示「縄文人の世界」では4,000年前 〜5,OOO年前の縄文時代中期の環境と人々の 暮らしを実物大の模型で復元してあり、四季 の移り変わりごとに『冬の狩り』『春の採集』 『夏の海』『秋の広場』と4場面の構成展示に なっていました。巡って行くうちに参加者か ら「春の採集の風景は歴博付近の馬高遺跡辺 りだなー」、「コゴメ、ゼンマイ、これはカタク リ?そっくりにできているの!」、「夏の海の 展示はこれは佐渡だな」、「ばっかうんまそう なでっけえ鯛らねっか」と、解説の学芸課主 任研究員宮尾亨さんからは「本物の鯛から型 をとりました」などとさながら野外巡検の様 な会話が聞こえるほど、人物や道具、植物、動 物、風景などが綴密に作られ、描かれていまし た。特に『秋の広場』では奥三面から苦労し て移しましたと説明を受けたくりの木の巨木 や木々がうっそうと繁る中、縄文ムラの縄文 人は土器や丸木船作り、屋根の葺き替えに精 を出している様子に、思わず料理の味はどう なんだろうと覗きこんでしまう、そんな不思 議な現実感があり、縄文人の暮らしの息ぶき が強く感じられました。小林達雄氏が言われ た縄文の思いを具体化した、縄文時代の続き がつい最近まであったという記憶を呼び起こ させる展示とはこれなんだと納得しました。
次ぎに12,000年前〜2,000年前の「縄文文 化を探る」と展示が続き、豊富な実物・複製 資料や解説パネルで縄文の「食」「工芸」「住 宅」「祈り」「土器」などが紹介されていました。
収蔵庫(考古)見学では渡邊裕之さんから 土器の形、色、大きさ、文様などが縄文時代の 変遷とともに変わていくことなどの説明受け、 復元中の土器等を手と目で質感、重量感を感 じながら確かめる事ができました。また、こ の機会ならではの話や「土は何処で?」「焼く 温度は?」「何に使ったの?」「底の尖ている 土器はどうやって煮炊きしたの?」と活発に 質問も交わされたようです。発掘されたまま の砕けた土器片を復元する作業も体験出来ま した。直接土器を手にとっての体験ができた 事はまたとない収穫でしたでしょうか。
すっかり縄文文化に圧倒され1O,OOO年間 の縄文時代を学習するには秋の講座と幸運に もこんなに近くにある歴博を活用しない手は ないと思いつつ巡検報告を終わります。
4月28日に 『にいがた「緑」の百年物語−木を植える県民運動』 スタート記念植樹でエンジ ュ(槐)を大地の会有志で信濃川河川公園のテニスコート脇に植えました。下が埋立地で土が浅いため 盛り土をし、風強でも丈夫に育つ樹にしました。エンジュは延寿、縁 起木、出世木として庭園、街路樹、記念植樹にと結構あちこちで見かけ ます。夏に淡黄色の花が咲き、花が終わるとマメができます。薬用植 物としても有名で漢方では止血剤として用いられています。「大地の 会有志」のプレー トが下がっていま す。立ち寄られる 機会がありました らご覧下さい。
縄文の文字が躍る紙面になりまし たが、昨年の小林達雄氏の語られた賛沢な縄文 文化。今なぜ縄文なのか、あっという間に生活 が急激に変化してしまったことに驚き、何を失 ってはいけないのかを考えさせられました。