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「大地の会」会報 No.37号
2001.9.4  発行
大地から学ぶ越路町の
お い た ち

【主な内容】

特別企画夏巡検報告 「八方台・栃尾市道院珪藻土と刈谷田ダム」
シリーズ 新潟の地震(16)         飯川 健勝
平成13年度総会・記念講演報告
お知らせ 地学講座案内 新役員紹介

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平成13年度大地の会特別企画・夏の巡検
「八方台・栃尾市(道院・珪藻土と刈谷田川ダム)巡検報告」

☆ 真夏の巡検

昨年の山古志村隧道巡検に引き続き特別企画として「夏の巡検会」を開催しました。
8月19日(日)、お盆の休み明けでありかつ夏の日射しが照りつける暑い日でしたが、37名と多数の参加がありました。
今回の巡検は、県の「一村一価値づくり事業」で交流のできた栃尾市の地域づくりグループ「よったかりうぇーぶ」が栃尾市道院で産出する「珪藻土」の調査と活用を検討されており、地学的な興味から珪藻土の露頭現場の観察をメインとして、途中の栖吉川、八方台休暇センターからの地形観察、そして栃堀にある「刈谷田川ダム」を見学しました。
今回の案内は、大地の会顧問の吉越正勝先生、飯川健勝先生、山崎興輔先生にお願いしました。 また、よったかりうぇーぶの田中正三さん、稲田武さんから現場の案内と地域づくりの活動について話を伺いました。

☆ 巨礫の点在する栖吉川

山間部から平地にかかる長岡市栖吉地区では、勾配が比較的緩いにもかかわらず、栖吉川の河床や田面の下などに大きな石が点在しています。大地の会の金井さんによれば、近くでの井戸掘削の現場でも、表土の下に大きな石ころの層があるとのことです。
これは過去の土石流によって運ばれたに違いありません。平時は穏やかな表情をみせている川も時として暴れることが感じられました。

☆ 信濃川がつくる越後平野と長岡・越路

八方台休暇センターの屋上からは、信濃川がつくる沖積平野とそこに発達した長岡市街地、越路町を遠望しました。
八方台は東山背斜の地層の高まりの上にあり、付近には越路町でよく目にする魚沼層より少し古い第三紀の泥岩や砂岩、安山岩質の火砕岩で構成されているとのことでした。

八方台眺望
写真-1 八方台休暇センター屋上にて

大地が何百万年かけて形成した自然に比べ人間が手を加えることのできることの小ささを感じさせる景観でした。

☆ 栃尾市道院の珪藻土

栃尾市の刈谷田川の奥まったところに栃尾市が周囲の環境を生かしてキャンプ場を設置しています。その道院池の近くに戦後(昭和27年頃)まで「珪藻土」を採掘していたとのことです。
珪藻土は「藻」の一種で珪酸でできた殻をもち、内部が多孔質な植物性プランクトンが化石化したものであり、多孔質なため、調湿性、断熱性に優れていることから、資源として一般にろ過助剤、コンロや七輪の材料、住宅の建材としての利用がなされています。
栃尾の珪藻土は淡水性のもので、粘土等をほとんど含ず、珪藻がびっしりと入った非常に純度が高く良質で、日本でも1、2を争う品質であるとのことです。

栃尾の珪藻の種類
図-1 栃尾の珪藻の種類

地元の田中さん、稲田さんの話では、栃尾でこんなすばらしい財産があることを知って、何とかこれを活用できないかと「よったかりうえーぶ」のメンバーで戦前、戦後と採掘していたという場所を探し、掘削機で掘って探し当てたとのことです。

珪藻分布図
図-2 珪藻土の位置

珪藻土層が形成された当時の堆積環境は、今から200〜300万年前、海が後退し淡水化し静止した水域(湖)に藻(珪藻)が大量に繁殖していたものと考えられています。
珪藻土の露頭はわずかしか確認されておらず、現在は分布や埋蔵量は不明とのことです。
道院の露頭では珪藻土は、崖の下にわずかに顔をのぞかせる程度であり、急な角度でもぐりこんでいます。過去の採掘で簡単に掘れるものは掘り尽くしたように思います。この位置での今後採掘は非常に難しい様子です。

珪藻土掘削
写真-2 珪藻土の産出位置

巡検参加者は、はじめて見る珍しい珪藻土にサンプルとしてビニール袋に入れて、持ち帰りました。陶芸を趣味とされている永井芳さんは、粘土に混ぜて焼いてみると話されていました。どのような焼き物ができるか楽しみです。

☆ 栃尾・見附を洪水から守る刈谷田川ダム

珍しい珪藻土をおみやげにバスに乗り最後の見学地であるダムに向かいました。
刈谷田川ダムは、洪水調節を主な目的とし、上水道、工業用水、そして発電を行う多目的ダムです。今は洪水期にあたっており貯水池の水位を下げておく時期であることと、今年は雨が少ないことから、池の水位はかなり低下していました。
ダムの高さは83.5mでほぼ県庁の高さと同じであるとのことです。
当日は、ダムを管理している長岡土木事務所の職員から、ダム内部の管理用エレベーターで、常用洪水吐のゲート室や監査廊を案内していただき、説明をきくことができました。

刈谷田川ダム断面図
図-3 刈谷田川ダム断面図

ダムの工事は、昭和49年から昭和56年におこない、完成して20年が経過しました。
重力式コンクリートダムで、堤体積は214,000立方メートル。通常ダムのコンクリートは、周辺の岩を採取しそれを砕いて利用しますが、刈谷田川ダム周辺には良質でかつ量が確保できる原石山がなく、当時土砂を採取していた「越路橋」付近から運搬しました。
総貯水量は445万立方メートル、計画では洪水ピーク時毎秒170立方メートルの洪水を調節し下流の洪水被害を軽減することとしています。

ダム下流面
写真-3 ダム下流面

☆ 涼しかったダムの内部

ダムの内部には監査廊という通路があって、ダムの変位や漏水量などの計測等の管理や点検を行っています。監査廊は急な階段でつながっています。 監査廊内は、外気温の影響を受けないため、寒いくらいに涼しく感じました。
巡検当日は、特に暑い日でしたので参加者全員しばしの涼を楽しみました。

ダム内部の監査廊
写真-4 ダム内部の監査廊

今回の巡検は、長岡市を挟んで隣の市、栃尾市に出かけました。近くではありますが越路町とは日頃の交流が少ない地域でしたが、よったかりうえーぶをはじめとする地域づくりグループが色々な活動を展開されています。田中さん、稲田さんからは、その栃尾の元気をいただいてきました。ありがとうございました。
最後に、暑い中時間を割いて資料作成や当日の説明を行っていただいた吉越先生、飯川先生、山崎先生と休日にもかかわらずダムを案内していただきました長岡土木事務所の職員の方にお礼を申し上げます。

(文責 小川)
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